大島和也の馬券術とは、
京都競馬場にいた。
そこで、ある一頭に熱い視線を送っていた。
その馬の名はナリタトップロード。
ライバル・テイエムオペラオーに苦杯を舐めさせられ続けること2年あまり。
今日の淀のターフに、その宿敵の姿はなかった。
60kgを背負いながらも地力の違いを見せ付けた京都記念。
ダービー・JCを制したジャングルポケットを、赤子の手をひねるかのごとく退けた阪神大章典。
G2連勝で臨む第125回天皇賞は、まさに淀のターフに捲土重来を期す一戦だった。
そして、その勝利を疑うことなく、私は当時の私の収入としては破格の、10万円の単勝馬券を購入していた。
しかし・・・
内から鋭く伸びるマンハッタンカフェ。
外から追い込むジャングルポケット。
ナリタトップロードは、過去2年のプレイバックを見るかのように、まったく伸びずに3着確保が精一杯。
『負けるイメージが浮かばない』
馬券を買う前にしきりに友人に、そう吹聴していた。
日曜日の夕方は決まって憂鬱だ。
明日から会社だから?
競馬で負けたから?
もし・・・競馬でいつでも勝てるなら。
それこそ、会社で働かなくてもいいくらい勝てるなら。
もう、こんな憂鬱を味わうことなんてないのだろうか?
その答えはわからない。だけど、このままじゃ50歳になっても同じ気分で同じ時間を過ごすことになるのだけは明らかだった。
事実、そんな馬券を買ったのは初めてのことだった。
いつもはせいぜい、500円程度の馬連をボックスで買う程度だった。
コンスタントに負けていたが、それなりに楽しめていた。
そのネタで出版社に記事を書かせてもらえるようになっていた。